今年のベスト1『一瞬の風になれ』に決定!!

夏休みまっただ中。いかがお過ごしでしょうか?

今年は「読書の夏」。ずっと気になっていた本を何冊か平行して読破しました。

その中で、たった今読み終えた、この本の感動を書かずにはいられないーー。いやぁ、、、最近出会った本のなかでも珠玉の作品。
一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
佐藤多佳子さんの『一瞬の風なれ』です。これ、書き下ろしで3冊に分かれてるのです。「長いなぁ、、、読めるかな?陸上ものだし、、陸上長編小説なんて、あんまり、自分の興味の範囲じゃないし。。。」なんて、心配は,最初の数ページで消去!!

もう、1巻から,主人公の新二に共感しまくり。ライバルの連くんが気になりまくり。

熱く、激しく、まっすぐで、でも、とても不器用な彼らに、何度も何度も、胸がきゅんきゅんし、鼻の奥がツンとしました。

臨場感のあふれた陸上のシーン、その心理描写もすごい。私のまったくしらない世界なのに、息苦しくなるぐらい、リアルに感じられる、、この作者(新人さんらしい)の手腕はラストランに向けてスピードを落とす事なく、最後の最後まで読者はひっぱていかれます。

100メートルという、個人の戦いの凄まじさと。

400メートルリレーという、チームで戦う難しさと素晴らしさ。

その競技が交互に出て来て、物語を進めていきます。

私が印象に残ったのは、3巻で新二がつぶやく言葉。

「人生は、世界は、リレーそのものだな。バトンを渡して、人とつながっていける。一人だけではできない。だけど、自分が走るそのときは、まったく一人きりだ。誰も助けてくれない。助けられない。誰も替わってくれない。替われない。この孤独を俺はもっと見つめなければいけない。俺は、俺をもっと見つめないといけない。そこは,言葉のない世界なんだーーたぶん。』

読んでよかった。
出会ってよかった。

胸が苦しくなるような切なさがしみる、でも、最高に爽快な作品です!!