マジメに。新発田BIRD LIVE REPORT(超・長文注意)

昨年は、ラッキーなことに、プロジャズメンの方たちとご一緒する機会が何度かありました。今年の一発目のジャズストリートのライブも、(ここ数日アップしている)東京のプロのお二人とのガチンコ共演。プレッシャーはありましたが、自分でもノビノビ楽しく力が発揮できたように思います。何より、お客様の反応がとてもよく、いろんなところでコメントやブログ等の感想アップをいただき、終わった後のご褒美を、まだもらってるみたいで嬉しい。こんなご褒美、ギャラには換算できませんてー。

最近、、つくづく思うのです。

2007・12・7が、迷い道くね〜くね〜と(♪ふるっ!)曲がり続けてきた私のボーカル人生でも、とりわけ大きなターニングポイントだったと。そう、、この日新発田市の市島酒造酒蔵で行われたBIRD 2007のステージです。


昨年12月のBIRDでのライブレポート、、、色々な方のリクエストもあり、書かなくてはと思いつつ、1ヶ月半近く経過してしまいました。実は書きかけの下書きをうっかり消してしまいまして。。(ホントですってば::!)なかなか取りかかれなかったのも本音です。が、何とか1月中にの悲願のもと!遅くなりましたが、、、なるべく細部を思い返して正直な心情を綴ってみました。

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『日本人で唯一あのジャコパストリアスと共演した(個人的交流もあった)、ジャズギタリスト高内春彦(HARU氏)』。そのHARUさん率いるHIKO BANDと、共演の話が持ち上がったのは10月の中旬頃でした。

●プレッシャーと、空っぽ脳みそ
なぜ私に白羽の矢が??? いろいろな事情があり、しばらく真剣に悩んだ末、「こんなチャンス二度とないかも!」というシンプルな理由でお話を受けました。まぁ、それから一ヶ月ちょっと、、急に歌が上達するわけでもなく(笑)。本番は12月1週目の金曜で怒濤のように忙しい時期の平日の夜開催だけど、とにかく体調管理だけを気をつけて過ごしたように記憶していますね。そういえば、この時期風邪をうっかりひかなかったのは、何年ぶりでしょうかーーー。もう一つ、、、「考えすぎない」こと。これは、自分よりうーんと上手な方と演奏するときには、無意識でもすごいプレッシャーを感じて萎縮してしまいがちなので、、本当に、ギリギリまで「共演者のすごさ」を直視せずに、、、どこか感覚を意識的に麻痺させてステージに臨みました。脳内イメージで「無」が満タンてっかんじかな?

新発田に向かう列車の窓から虹が、、

行きは白新線に乗車。この日は下り坂のお天気ながら、時おりお日様が顔をだし、白新線の電車の窓から半円の弧を描いた見事な虹が見えました!うん、なんか幸先いい感じ♪新発田市新発田ジャズ物語以来、2度目です。実は、10月頭に開催されたこのジャズ物語でのステージパフォーマンスが好評で、今回のお話につながったらしいです。ありがたいこっちゃ☆駅からほど違い市島酒造酒蔵が、今回の会場。100年の歴史をもつ風情ある酒蔵で、エントランス付近ではすでに新潟大学のスタッフが入り口付近の照明やディスプレイに奮闘しています。今回の企画プロデューサーの吉原さんにご挨拶。酒蔵の反対側の入り口には中越沖地震の被害状況のスライド上映もしており、ただのジャズのライブではない、複合的な仕掛けの展開は、さすがの手腕です!!

●HIKO BAND リハーサル

そうこうしてるうちに、HIKOバンドのメンバー到着、、ワオ、、キンチョーする☆、、でも、HARUさん始め、メンバーの皆さんは紳士的でとても温かい対応でした。ベースの香川裕史さん、ドラムの高橋幹夫さん(若い頃の桑名正博似?、二人ともすごくカッコいいです!!残念ながらフルートの井上信平さんは、急病でキャンセル。友人のプロベーシスト佐藤慎一くんとよく共演している方なのでお会いできなくて残念!HARUさんたちは昨年も同じ場所でやってらっしゃるのですが、やはりリハーサルで念入りに音作りをしていました。私も厚かましく、リハをお願いしました。(だって、当日どんなサウンドが飛び出すか想定不可能で、、、)会場は奥行きがかなりあります。ああ、、、入り口が遠い、、本当にこの数の椅子を全部うめるぐらい来場するのかな?

●控え室で記念撮影

腹ごしらえと着替えをしたりしながら、しばし談笑、、HARUさんの「今日やる曲を発表します」の声を聞くと、一瞬空気がしまりました。オリジナル譜面等は、HARUさんの手書きでコーヒーカップやハートマークの可愛いサインがしてあって、写真も撮影させてもらいました。(あれ、私ってば、結構リラックスしてるかなー?)。

●HIKO BAND 演奏

外は雨が本降りに、、、しかし悪天候の中、会場にはぎっしりとお客様が駆けつけています。200名、、は入ってるらしい、、すごい集客力です!!期待あふれる会場にHARUさんたちが登場するとわれんばかりの拍手!!!ああー、私もただの客として、この中で日本酒呑んでいい気持ちで演奏聞きたいよぉ、、、心底そう思った瞬間です。入り口付近に立っていても、どんどんお客さんが来るので、結局会場の外で聞いていました。(寒いので、控えとトイレを行ったり来たりしながら)。うううん、なんてカッコいいんだろう、サウンドにすごく独創的な部分があり繊細なのにダイナミック。自由で、軽やかで、洗練された音のなか、さりげないけど悶絶モノの超絶プレイが続きます。流石、ジャコと共演した世界的ギタリスト!(新潟で)こんな演奏を聴いたのは初めてです。

●いよいよ出番だ!!
1部が大拍手で終わって、、控え室で休憩の間、HARUさんがNY時代の話や、東京での活動のこと、、お話してくださいました。家族のお話もチラリ☆(いいお父さんの表情でした〜。ご自宅には奥様の松坂慶子さんがいらっしゃるのが、当たり前なんだけど、なぜか想像できない、、、)もっと沢山伺いたかったのですが、、さすがに出番が近づき、頭も心もグルグルに、、、。「楽しくやろうね!」と高橋さん、香川さんに声をかけてもらい、、、あとは、あの満員のお客様に呑込まれないように、精神力を保つだけ!!

2部の頭は、主催者の吉原さんの挨拶と、中越沖地震の被災地、柏崎で様々な活動を行い、このライブの翌々日に開催決定している柏崎音市場にも深く関わっている方の(スイマセン;お名前が分からなくて)挨拶でスタート。これは、今回の企画の意味をもう一度皆さんの胸に刻むこんでもらうためです。そして私にマイクがまわってきました。200名強のお客様の熱を帯びた視線、、、200って何度も書いてますが、耳と目は全部で400ずつあるんです。やっぱり、こちらに刺さるパワーもプレッシャーもスゴいのです。それを「うん!!気持ちいい!!」最初のつかみでそう思えたので、今夜のステージは行けそうです☆

●大観衆のなか、、
『MCもヴォーカルの1部である』は、私がどんなステージでも心がけていることです。が、今回は特に、私の役割が「歌を通して語りかけること」だと思っていたので、MCもしっかりフックだけは考えていきました。地震、ジャズ、神戸(出身地)新潟、チャリティの精神、、そんなキーワードのリレーから、1曲目のエリントンナンバーを選曲。1部とは異なり、2部は徹底して「皆さんの知っているスタンダード」路線で、2曲目にベースの香川さんフューチャーで「枯葉」を。3曲目にやはり、この時期なので1曲「THE CHRISTMAS SONG」。

個人的にこの曲がHARUさんのギターで歌えて。。。最高にハッピーでした!!ご本人の来ている黒い衣装と雰囲気から「黒いサンタクロースさんみたいな、HARUさんです」のお笑いMCもしたんですが、、、失礼のないよう、ちゃんと控え室で「事前許可」をいただいたMCなのでした(笑)。用意周到でしょ。演奏は、、本当にリリカルでした。暖色系の明かりに揺れるお客様の幸せそうな瞳、、忘れられません。あんな、ハッピーなオーラを感じて歌えたクリスマスソングは初めてです。「次の曲が最後の曲です」と言うと、客席からため息まじりに残念そうな声が、、、。「もっと聞いていたい」そう感じてもらえるのはミュージシャン冥利につきます。

ラストは「On The Sunny Side Of The Street〜明るい表通りで〜」を、もちろん関西弁の歌詞解説つきで(笑)。曲が始まったとたん、パッと陽がさしたように会場内が明るくなりました。演奏とお客さんの感じる空気が会場内のワット数をあげたように
思います。そして手拍子!!アドリブへつなげると、バンドの演奏もどんどんボルテージがあがり、、ホント、こういうスタンダードをどこまでもハッピーに余裕でプレイできるのがスゴい(実は、かなり難しいテクニックを使ってらっしゃると思うけど)。ラストコーラス前のボーカルスキャットとドラムの4バースの掛け合い、楽しませていただきました。

鳴り止まぬ拍手でアンコールへ。曲は、会場のお客様のリクエストにより『ALL OF ME』です(たまたま、譜面持ってた♪)。ジャズを歌い始めていた頃からの愛唱歌、、なんですが、、最近はホント自由に好き勝手歌っております。この「ボーカルの自由度」って、共演者の演奏レベルが高いほど、ますます高まるですよね。そんなことも身を持って体感!もちろん、この日の最後は目の前のお客さんも一緒に、遥かな♪自由な♪世界へお連れできたのではないかと思います。

●感動、感激、の嵐

アンコールが終わって。恐らく予定終了時間をかなりオーバーしていたと思います。外は冷たい雨が本降り、、、。なのに!!200名のお客様が誰も席を立たず、私たちが会場を去るのを待ってくれているのです。酒蔵を埋め尽くす温かい拍手の嵐、、いつの間にかステージから出口まで、お客様が作った細長い道ができていて、その間をぬってHIKO BANDと一緒にゆっくりと進んで会場を後に。おお、、、両側から、「すごくよかった」「感激しました」「ありがとう!」「とても楽しかったです!」の声とともに、握手ぜめにあいました!こんなの初めての経験です。今までも広い会場で100人単位のお客様相手に歌ったことはありますが、こんなに濃い密度で「聞いて」「見て」「感じて」もらったのは、、なかったなぁ。。。。何もかも「初めて」づくし!!もう、出口に辿リ着く頃には両目から熱い汁が、って、。感激で気づくと泣いてましたよワタシ。出口では、この企画のもう一人の立役者、BIRDの靖子ママがこぼれそうな笑顔で「ありがとう!!」と握手してくれました、、、「終わったーーー」と、大役が果たせたと心底ホッと思えた瞬間でした。


●打ち上げは『BIRD』

片付けが終わって、関係者で打ち上げにいきました。ジャズイン新潟の高橋さんと先に入店すると、BIRDの靖子ママのお手製の焼きそば他、美味しそうなつまみがズラリ!!思わずお腹がぐーーーとッ反応。HIKO BANDの皆さん、主催者の吉原さんと
乾杯〜!!、、、が、残念ながら、乗り合いタクシーの時間があって、皆さんとdeepなお話で盛り上がる前に、後ろ髪引かれつつ、お店を後にしたのでした。。。

個人的に、阪神大震災の被災者として、この企画に微力ながら役に立てて嬉しかったです。ボーカリストとしては、本当に二度とないような、いい経験をさせてもらいました。私の人生年表の中で、『新発田の奇跡の夜』と勝手に命名

このイベントに関わった皆様、、新発田のジャズファンの皆さま、本当にありがとうございました!!


新発田のジャズ熱は益々、上昇中です。3月30日には地元ミュージシャンによる『新発田ジャズ物語』第3弾がすでに開催決定しているようです。出演するミュージシャンの皆様、今回も大いに新発田発信のジャズムーブメントを盛り上げてくださいね!!